油画科の試験では自分の視点や世界観をしっかりともち、それを画面に表現する力がとても重要になります。ただ好きなものを好きなように描くだけでは表現とは言えません。自分の視点、考え方が見る人にどう伝わってほしいか、どうすれば伝わるのかを知っていくことも大切になります。合格した彼は表現について常に考えながら自分のやりかたを見つけ出し、良い結果を残しました。ここでは合格までの作品の流れをご紹介します。
代々木ゼミナール造形学校 講師 佐藤亮介
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自画像油彩
4月
基礎科から絵を始めていたため、ある程度の描写力は感じられますが絵の具の扱いや構図も含めまだまだ拙い状態です。 |
構成油彩
6月
どんな課題だとしても自分の好きな世界観を描こうと積極的でした。しかしこれではゲームの世界にモチーフを置き換えただけになってしまいます。それをつかって何を見せたいかが重要です。 |
想定油彩
8月
絵の具や道具の扱いに少しずつ慣れて、使う色や描きたいものの方向性が見え始めます。 |
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ヌード油彩
8月
対象を観察したうえでモチーフや絵の具の扱いに変化を加え、自分なりの表現を画面の中で模索しています。イメージが形になる感覚をつかむきっかけになったと思います。 |
想定油彩
10月
作者の視点がよく見えてくる作品。内容を全部わかりやすく描いて説明するのではなく、見る側にどう伝わっていくか少しずつ意識しながら描けるようになってきました。 |
人物デッサン
11月
同じような課題でも、新鮮な視点で描いていくことはとても大切です。人物課題ですが、この作品ではモデルのいるアトリエ内での人の動き、時間の経過に目を向けています。 |
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自画像デッサン
1月
絵として完成はしていますが自画像という課題に対してやや消極的に見えます。どんなに良く描けていても、課題に対する答えとして適切でなければ良い評価は得られません。 |
想定油彩
2月
常に変化をし続けるモチーフに対して、画面もしきりに変化していきます。どんな変化も柔軟に受け止め、素早く次の行動に移せるかが試験でもポイントになります。 |
自画像油彩
3月
これまでやってきたことをいかしつつ行程と画材に変化を加え、さらに作品としての完成度を上げていきました。 |
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一次試験
再現作品
モチーフのある試験会場の様子を描いています。モチーフの捉え方は人それぞれですが、トリミングや配置から作者の視点が伺えます。 |
二次試験
素描再現作品
苦手とするモチーフでしたが、対策したこととその場での発見をいかし自分が楽しんで描ける方向へうまくシフトしていきました。 |
二次試験
油彩再現作品
自分の世界観を思い切り出しながらも、それが一人歩きせず冷静に自分の作品を見て完成までもっていくことができました。どんなときにでも積極的に挑戦をしてきたことが自信につながり、合格に結びついたと思います。 |
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